あなたは鏡の中に何を見ますか?
今から30年ほど前,
とてもリッチなある経営者が市内に素晴らしいビルを建てられ、
その披露宴に招かれた時のことでした。
あわてんぼうの私は予定より30分も前に到着。
担当の方より
「皆さまが揃われるまで、館内の見学を…」
と言われ、好奇心旺盛な私は
さっそくエレベータで最上階のボタンをプッシュ。
そこは広々としたゴージャスなホール、
磨き抜かれた床は大理石、
中央にはブラウンオニキスの大テーブル!
そして正面の壁には宝石のように輝く
グリ―ンオニキスのコンソールミラーと、
まるで18世紀ヨーロッパの宮殿のようでした。
「そうだ、まだ時間があるからあの鏡でお化粧品直しをしましょう」と、
その素晴らしいコンソールミラーに向かって歩いていく私。
誰もいないホールに
コツ、コツ、コツ…
大理石のフロアーにピンヒールの足音が響き、
何とも言えず気分が高揚し、
まるで映画の1シーンのようでした。
コンソールミラーの前に立った丁度その時、
大きな窓から眩しいばかりの朝日が差し込んで、
不思議な感覚に全身が包みこまれました。
そう、誰でも鏡の前に立った時には一番いい表情をすると思うのですが、
その鏡にはなんと見慣れない表情の戸惑っているような、
困ったような顔をした私が映っていて、
まるで私の心の中がそのまま写っているように感じました。
何故かこの時に頭をかすめた言葉です
「あなたは鏡の中に何を見ますか?
ベルリーナはお肌を磨いて心を磨きます」
そうです。
ベルリーナのキャッチコピーとして資料などに書かれている
この言葉が生まれた瞬間でもありました。
若い頃の私は、見た目の美しさばかり追求してきたけれど
年齢的にも
“真の美人”
を目指さなければいけないと
無意識に考えていた頃だったのでしょうか。
若い時から化粧品という仕事柄、
メイクアップ・カラーコーディネイト等、
外見の美にこだわってきたけれど、
これからは見た目の美しさは勿論、
健康な身体に豊かな心、
いわゆる内面・外面・精神の3面の美を兼ね備えた
”真の美“を目指して努力して参りたいとこの日をきっかけに改めて、
強く思うようになったのです。
丁度その頃
ココ・シャネルの以下の言葉には深く感銘を受けたものです。
”二十歳の顔は自然からの贈り物
30歳の顔はあなたの生活によって刻まれ
50歳からの顔にはあなたの価値があらわれる“
いかがでしょうか?
「あなたは鏡の中に何を見ますか?」