“人を育てる難しさ”とは
私を見つめる彼女の熱心な眼差しと熱いその話しぶりに半ば圧倒されていました。
仕事の案件について考え抜いたのであろうその内容に感心し「凄い!いつの間にここまで深く真剣に考えてくれていたのだろう…」それが頼もしくもあり、反面眩しくもありました。省みると至らなかった私はいつも彼女の欠点ばかりが目に付いて、厳しく注意をしてきたものです。大きな目に涙をいっぱい浮かべつつも「以後気をつけます!私一生懸命頑張ります」…それは25年前のことでした。
「人生には二つの苦労がある。ひとつは人生を切り拓く苦労、もうひとつは人を育てる難しさである。前者は自分に打ち勝つことであり、後者は自分を捨てることである。」
先日、某会での挨拶で、私はこの言葉について少しお話をさせていただきました。この言葉は何年も前から大切にしている石川洋先生の言葉ですが、“自分の人生を切り拓く苦労、それは自分に打ち勝つこと”自分のライバルは何よりも怠け心いっぱいの自分の心です。手抜きしよう、楽になろうと誘惑する自分の心があり、それは駄目!もっと納得できるまで頑張ろう!とアグレッシブな自分もいるのです。最近では誘惑に打ち勝つことにいささかの自信ができたので何とかクリアーできているのでしょうが、一方の「育成」」についてはいささか心もとなく自信がありません。これは経営者としては大きな課題だと自覚しています。
創業当時の私はとても我が強く、自己主張も激しかったためか育成という点では大いに苦しみました。残念ながら現在に至ってもややもすればその顔を覗かせてしまうことがあります。「自分を捨てること」とは、相手の能力を伸ばそうと思えば、決して自分の意見を押し付けてはならない!それを“自分を捨てる”と表現しているのではないか、そして相手に対して感謝の心を持てば、その人の優れたところに目が行くものであると理解しました。が、人を育てるという自信はまだありません。しかし現立場上そうも云ってはおられず、まずは深いご縁ができた人とは誠実に接して、本音で話し合える素晴らしい関係を創っていこうと思っています。
真実の人間関係こそがお互いの成長には大切なことかもしれません。現に私は今、優れたスタッフに日々育てられているような気がします。かく云う私自身がはたして良い影響を与えることができているのかどうか?皆様はどの様に考えられますか?