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えっ!そこまで言っていいの?

ある勉強会主催の一泊研修旅行に参加したときのことです。
会のメンバーは大変ユニークな人たちの集まりで、参加者は14~15名。仕事大好き、人間大好きの楽しくて優しい人たちばかりの会です。
 
今回はメンバーの一人である、N社長の会社訪問でした。立派な会社経営をされていて、このたび新規事業として「観光館」を立ち上げられ、その見学も兼ねての懇親・研修旅行でした。
 
新規事業「観光館」の見学を終えて一人ひとりが順番に感想やアドバイスなどを発表するのですが、トップバッターに当たったMさんはご自分が感じられたまま「御社の立派な経営理念のわりには、お金の匂いがプンプンしましたよ」と歯に衣着せぬ率直なご指摘、実に的確に感想を述べられました。「なるほどそういう見方があったのか!」と、私はただひたすら感心するばかり。続くメンバーからも辛辣な意見の数々が正直に発表されます。過去にも同様の場面を幾度か経験したことがありますが、これほどまでに真剣に、しかも率直な意見を聴いたことがありません。
 
私はN社長の心のうちを考えると、いくら感じたままをと言えども寄ってこってここまで厳しいことを言っていいものかと、ハラハラ、ドキドキしていました。もし私がN社長の立場なら、あれだけ次から次へと辛辣な意見を出されたらきっと立ち直れないほど落ち込み、山ほどの言い訳をしたくなるに違いないと思いました。
ところが、N社長は「皆さんどうもありがとう! 率直なご意見をいただきとても勉強になります。できればもっとたくさんのご意見をお願いしたいくらいです。こんな素晴らしいチャンスは滅多にありませんからね」と、真剣な面持ちで応えられました。私にはとても言えない言葉です。
そして翌日、メンバーたちは「言いっ放しではなく、どうすればもっとよくなるかをみんなで考えよう」と、予定の観光を取りやめ、当社の幹部社員の皆さんも交えての会議の時間が設けられたのです。
 
 研修旅行を終えて、後日私なりに考えました。このたびの研修会で、誰よりもいちばん有意義な時間を過ごされたのはN社長で、メンバー全員がその素晴らしい時間を共有できた幸せ、そのおかげでまた私も少しだけ成長させていただけたような気がします。
 
 このような貴重な時間が持てたのはN社長の「器の大きさ、器量の深さ」をよく理解しているからこその仲間の率直な意見であり、またその仲間の真心をしっかりと受け止めているからこそのN社長の感謝の言葉だったのでしょう。果たして私はいつになったら“耳の痛いアドバイス”を聞かされても真摯に受け止め感謝の言葉が出るようになるのでしょうか…。いいえ、その前にまず辛辣でも真心のこもったアドバイスを頂ける“器量”を育まねばならないと自省しています。