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美蕾(みらい…未来)

絵を習い始めたきっかけは「あの可憐な蕾や花が描ければどんなにいいだろう」と、花を観るたびに思っていたからかも知れません。
この秋、日ごろのレッスンの成果発表の場、作品展示会が開かれることになり、「薔薇を描いてもいいですよ」との先生からのお許しをいただいて、一生懸命に描いたのが満開の白薔薇と可憐な蕾でした。会心の作(?)が出来上がったとき「中島さん、その絵のテーマは決めたの?」と先生に問われ、「美しい蕾…だから“美蕾”(みらい)です!」と即答。ということで出品作品のテーマは「美蕾」です。
 
 蕾といえば以前、石川 洋先生から教わったことですが、山口県にある洞泉寺(とうせんじ)に樹齢400年の臥龍梅という梅の古木があり、春になるとその古木に沢山の蕾が付き可憐な花が咲くそうです。樹齢400年の梅だけど、咲いているのは今年の可憐な花なのですよ…、と。この素敵なお話から私は世阿弥の花伝書の中にある“時々の花”“誠の花”を連想していました。それは、若いときは「可憐な花」老いた時には「円熟の花」というように人はその年齢とともにその時々の素晴らしい「花」を咲かせることが最高の生き方であるということなのでしょう。
また、20代には20代の花、30代には30代の花、40代になれば満開の素晴らしい花を、“時の勢い”があるこの40代までは誰にでも花は咲くけれど、50代になったときに何の努力もなしには決して“時々の花”は咲かないものと聞いています。
 
 人生のクライマックスに「時分の花」を見事に咲かせることができる人、逆に酷く老いて枯れていく人、その境目が丁度50歳くらいではないでしょうか。「時の勢い」が無くなった年齢だからこそ、今まで培ってきたものの考え方や捉え方、そして豊富な経験からくる人生の哲学が生かされるのではないでしょうか。その結果咲くのが「誠の花」。すべての人は生きている限り「時分の花」を咲かせたい!むしろそのためにこそ生まれて来たと云っても過言ではないでしょう。
 
あなたはどんな花を咲かせますか?
私は、60代には60代の、70代には70代の見事な円熟の花「誠の花」を咲かせたい! と思っています。
 
 もしも時間にご都合がつけば、7輪の純白の薔薇の花と、可憐な蕾が沢山ついている「美蕾」をぜひ観に来てください。お待ちしています!!
『過去が咲いている今 未来の蕾でいっぱいの今(河井寛治郎)』